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インドで人生観は変わらないのか?【第12話】絶対に負けないぞ

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インドは、最低で、最低で×100、最高な国だった。これは人見知りがインドに行って人生が変わった話。第12話。

 

 

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まだ承諾していないのに、

 

 

耳かきチャンピオンの木の棒が、もう既に僕の右耳に突き刺さっていた。

 

 

「ちょ、ちょっと!」

 

 

「チャ、チャンピオン!!」

 

 

「ねぇ、、、やめてよ!!」泣

 

 

 

「絶対いやだよ!!」

 

 

 

チャンピオンは言った。

 

 

 

「大丈夫でーーーす。」

 

 

 

「安心してくださーーい。」

 

 

 

「安心できるかコノヤロー!」怒

 

 

芝生の上に座って、ノートを読んでいる日本人の耳に、いきなり木の棒をいれるんじゃねぇよ!危ないし、マナー違反だろうが!!

 

 

(お葬式に、全身デニムで参列するくらいマナー違反だぞ。)

 

 

耳かきチャンピオンは僕の肩をガッチリ掴んで、離さなかった。

 

 

「や、やばい!!」僕は叫んだ。

 

 

「や、やめろーーー!!!」

 

 

耳かきチャンピオンがよくわからない液体を僕の耳に注入してきたのだ。

 

 

「う、うあぁあああ 」

 

 

「き、、、」

 

 

「き、、、、、、、、」

 

 

「きっっ、気持ちぃぃいい!」(昇天)

 

 

 

北島康介みたいに僕は叫んだ。

 

 

「ちょう、気持ちいい!!」(笑顔)

 

 

インドを一日中歩き回っていたから、耳の中に砂埃がたくさん入っていたのだろう。

 

 

耳かきチャンピオンが使った液体は、「ミント」的な成分が入っていて、耳がスースーして気持ちが良かった。

 

 

それと耳かきチャンピオンの熟練した技術が最高だった。

 

 

「あ、あんたは」

 

 

「本当に、伝説の耳かきチャンピオンや!」と僕は思った。

 

 

 これが、10ルピー(当時の金額で20円前後)なら絶対に安い。貴重な経験になるし。

 

 

けれど、その前にちゃんと価格交渉をしないと!

 

 

「ねぇ、チャンピオン、これは本当に10ルピーなの?」

 

 

「はい、本当に10ルピーです。」

 

 

「そっか、じゃあ気持ちいいから、お願いします。けれど、僕は何があっても本当に10ルピーしか払わないよ!?」

 

 

「はい、ありがとうございます。料金は本当に10ルピーしかいただきません。」

 

 

「良かった!じゃあ、続きをよろしくお願いします!」

 

 

僕は、前払いで10ルピーを渡した。

 

 

「 サー!( Sir   ナイトの称号であり、敬称) ありがとうございます。それでは今から掃除します。」

 

 

耳かきチャンピオンの仕事は素晴らしかった。それとこの時、インド人は誰に対してもSirという言葉を使うことを学んだ。

 

 

少しして、耳かきチャンピオンが僕に声をかけてきた。

 

「サー!あなたの耳から、耳クソがこんなにとれました。」

 

 

「いや、別に見せなくていいよ」と思いながら僕は耳かきチャンピオンの手の平を眺めた。

 

 

「おい、、おい、、、」

 

 

「ウ、、、ウソだろ、、、、」

 

 

「チャ、、チャンピオン、、、」

 

 

 

「耳クソが、卓球のピンポン玉くらいこんもりしてるじゃねぇか!!」

 

 

マギー審司の、「耳がでっかくなっちゃった」くらいでかいよ。何ですか、ここは手品も楽しめる場所なんですか?

 

 

僕の耳クソの他に、消しゴムのカスみたいなやつが混ぜられていて、増量して演出していた。誰がこれで喜ぶんだ。。?

 

 

耳かきチャンピオンは「これが、あなたの耳からとれました。」と大真面目な顔をしているけれど、

 

 

昭和のテレビよりもやらせ感がひどかった。

 

 

そして、耳かきチャンピオンは言った。

 

 

「さぁ、次は左耳にいきましょう。」

 

 

僕は言った。

 

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

 

「左耳はプラス10ルピーです!」

 

 

「えっ?」

 

 

「左耳はプラス10ルピーです!」

 

 

「いや、何でだよ!」

 

 

細かくキザんでくるなよ!

 

 

ルールブックの盲点だよ!!泣

 

 

 けれど、チャンピオン、僕は事前に言ったよね?何があっても10ルピーしか払わないよってさ。左耳も追加料金なしでやってもらうよ。

 

 

 

耳かきチャンピオンはぐぬぬっ、、こいつやるな」という顔をして、仕方がなさそうに僕の左耳を掃除し始めた。

 

 

けれど、さっきと違ってなんかすごく痛い!!

 

 

チャンピオンが、さっき使ってくれた液体の薬品を、今回は使っていないからだ。

 

 

「いてて、、痛っ!!」、僕は苦痛の表情を浮かべた。

 

 

チャンピオンは笑いながら言った。

 

 

メディスンが欲しいですか?メディスンを使うならプラス10ルピーです!」

 

 

「いや、何でだよ!」

 

 

メディスン使ってよ!」泣

 

 

「私、確かに耳かきは両方で10ルピーと言いました。それは認めます。」

 

「けれど、先ほどのメディスンは私のサービスだったのです。左耳にもメディスンを使って欲しいなら追加で10ルピー払ってください。」

 

 

ぐぬぬぬ、、なんか正論を言っているような気がするぞ。」

 

 

「けどな、俺はお金が惜しいんじゃねぇ。お前のそのやり方が気に食わないんだよ。俺は10ルピー以上は絶対に払わねぇぞ!武士に二言はねぇ。日本男児をナメるなよ!!」と僕は心の中で叫んだ。

 

 

 

チャンピオンがわざと強めに、僕の耳の壁をほじくる。

 

 

メディスン料金、払うきになりましたか?」

 

 

「ノーメディスン!」と僕は言った。

 

 

ガリっ!ガリっ!とチャンピオンが、僕の耳をひっかく。

 

 

い、痛い!!

 

 

メディスン??」

 

 

「ノーメディスン!!」

 

 

メディスン??」

 

 

「ノーメディスン!!」

 

  

 

お互いムキになって、時間が過ぎた。

 

 

そして、全く気持ちがよくない耳かきが終わった。

 

 

僕は結局、耳かきチャンピオンには10ルピーしか払わなかった。

 

 

 

お金は守れた。

 

 

 

けれど、何か大事なものを失った気がする。

 

 

 

 

左耳がズキズキして痛い。

 

 

 

 

なんか、左耳の鼓膜が破れているような、、、

 

 

そんな気がした。。。

 

 

 

  

つづく。。。

 

 

 

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