サルも木からブログ

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インド旅行記【第16話】冷静と情熱のあいだ

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インド人の若者のグループに囲まれてしまった。

 

 

周りには5、6人の若者がいたけれど

 

 

僕の視線はずっと、リーダー格の若者をとらえていた。

 

 

「こいつだけは絶対にゆるせねぇ。」と僕は思った。

 

 

いったい何人の罪のない日本人が、こいつの餌食になってしまったのだろうか。

 

 

海外旅行ってのは、島国の日本人にとって人生の一大イベントだ。結婚記念日や、学生の卒業旅行とかでウキウキしていた人も多かったはずだ。

 

 

そんな甘くて優しい気持ちを、こいつは無残にも踏みにじった。

 

 

こいつだけは、生かしちゃおけない。

 

 

今までに涙を飲んだ日本人のためにも、これからインドに来る日本人の為にも、僕は戦うと、そう心に決めた。

 

 

けれど、3人のインド人の若者に肩や腕を掴まれていて僕は一歩も動くことができなかった。

 

 

ちくしょう。インドでは左手は不浄の手だから、人様に左手で触ったりするのは失礼であると本には書いてあったぞ。

 

 

けれど、こいつらにはそういう常識が全く通用しないんだ。

 

 

ちくしょう。。

 

 

「は、、放してくれ!」と僕は声を裏返して言った。

 

 

 

「絶対に放さないぞ」と若者は答えた。

 

 

「いやだ!放せ!!」と僕は叫んだ。

 

 

「絶対に放すもんか」と言いながら、インド人の若者は僕の手首をさらに強く握った。

 

 

「僕に触るな!放せ!」と僕は言って、腕を高く上げてから、勢いよく地面に向けて振り下ろした。

 

 

タワーオブテラーのレベルMAXくらいのスピードだった。

 

 

肩が外れるんじゃないかというくらいにおもいっきり腕を振り下ろしたから、

 

 

一瞬だけインド人の若者の手が僕の腕から離れた。

 

 

 

「今だっ!」

 

 

「やるなら今しかない!!」

 

 

全集中、、、

 

 

水の呼吸、、拾五ノ型、、、

 

 

「鉄砲水」と頭の中で叫んで、

 

 

全速力で走った。

 

 

 

「おい!クソがっ!」

 

 

「逃げるな!!」

 

 

とインド人の若者に言われたけれど、僕は振り返らずに走って逃げた。

 

 

若者は、ものすごい速さで追いかけてきている。

 

 

インドの不揃いなコンクリートの歩道に、足を取られて転ばないように慎重に、

 

 

けれど追い付かれないように、大胆なスピードで、

 

 

一心不乱に僕は走った。

 

 

走っている途中、なぜだか僕は、

 

 

子供の頃に大好きだったおじいちゃんと上野動物園に2人で行った時のことを思い出した。

 

 

そうこうしてると、あまりに僕の逃げ足が速かったからか、彼らは途中で追ってくるのをやめた。

 

 

最後に捨て台詞として若者は叫んだ。

 

 

「KILL YOU !!(ぶっころす)」

 

 

僕にはとても、

 

 

「As you like(お好きにどうぞ)」

 

 

と言い返す元気はもうなかった。

 

 

エア・インディアを探さないといけない。。

 

 

けれど、この街を1人で歩くのは、

 

 

もう怖くて怖くて、たまらなかった。

 

 

街中に、彼らの仲間が潜んでいるかもしれない。

 

 

僕はすっかり怖気ずいて、雛鳥が一番最初にみたものを親だと思う習性のように、

 

 

僕の「親」である、銃剣を持った警備員を探して歩いた。

 

 

すると、コンノートプレイスの地下鉄の駅の階段付近にある、ドノウが積まれた場所に銃剣の警備員は立っていた。

 

 

僕は銃剣の警備員が見える、階段の段差に腰をおろした。

 

 

もう足も、そして心もクタクタだった。

 

 

燃えるような暑さの中、インド人の詐欺師の魔の手をかいくぐり、さまよい歩いた。

 

 

10km以上は歩いたと思う、もしかしたら20km以上歩いたんじゃないかとも思えた。

 

 

 

頭がクラクラする。。

 

 

 

もう、、、僕は、、、ダメだ。。。

 

 

 

完全に心が折れてしまったようだ。

 

 

汗なのか、涙なのか、

 

 

一滴の水が拳の甲に落ちた。

 

 

 

誰か、、

 

 

この街で色あせてしまった僕の心を、

 

 

そっと、抱いてくれ。

 

 

 

誰か、、、

 

 

もしも、僕の願いが叶うのなら、、

 

 

「誰か、、助けてください。。」

 

 

僕は顔をくしゃくしゃにして、神様にお願いをした。

 

 

神様、仏様、ブッダ様、ご先祖様、

 

 

とにかくどなたか。。

 

 

どうか、ご慈悲を、、、

 

 

すると、

 

 

僕の願いがどこかに通じたのだろうか、、

 

 

1人の日本人が、僕の目の前に現れた。

 

 

つづく。。。

 

 

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