インド行ったら人生変わった【第29話】アンダーグラウンド・アグラ
第1話↓
汽車に揺られてアグラに到着した。
駅前にタクシープールがあって、
僕は一番無口で商売っ気がない運転手に声をかけて、市街地までの所要時間と金額を聞いた。納得のいく金額だったから、その値段で交渉がまとまってタクシーに乗り込もうとする、おしゃべりで恰幅の良い別の運転手が僕の腕を掴んだ。
「いいかジャパニーズ、そいつは初心者だからダメだ。同じ金額でいいからこっちに乗れ」
腕、痛いよ。と思いながら無口のドライバーの方に目をやったが、うつむいたまま黙っていたままだから、
このおしゃべり運転手の車に乗った。
運転中、「タージマハルを見たら次はどこに行くの?」と彼は言った。
「まだ決めてないよ。」と僕は言った。
「バラナシかリシュケシュには行くか?」
「どうだろうね」
「ヨガはやるか?流行っているんだろ外国で」
「やるかもしれないね」
「じゃあ、ヨガの服を買わないといけないよな?」
「いや、いらない。ヨガは好きじゃないから」
タクシーを降りて、ホテルを探した。
レオナルド・ダビンチの最後の晩餐みたいな絵が飾られている部屋に今晩泊まることになった。値引き交渉とか水回りが綺麗だったから。
その日はすぐ眠りについた。
次の日の朝、ホテルをチェックアウトしてホテルの目の前で立っていると
「モンキーくん」と目の前のオートリキシャの中から誰かに声を掛けられた。
No way,,
君は、、ぼくが一緒に切符を買ってあげたマッチョ野郎じゃないか。
「さぁ乗って」とマッチョ野郎は僕に言った。
僕はそのオートリキシャに飛び乗った。
オートリキシャはどこかへ向かって走り出した。
きっと東に向かっている。そんな気がした。