人見知りがインド行ったら人生変わった。【第1話】
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「第一話」
端的に言うと、「インドに行って人生が変わる」とか
「一人旅をして自分探しをする」とか言う人間が僕は嫌いだ。
そんな言葉を聞くと、まるで耳にポテトチップスの残りカスを入れられている気分になる。
つまり気分が最高に悪くなるってことさ。
そして不幸なことにも、そんな薄っぺらい話や文章がこの世界には溢れている。
これは、インターネットとか
情報社会、テクノロジー社会の1つの弊害かもしれない。複数のメリットが一瞬で消えてしまうくらいのひどいデメリットさ。
ここで詳細を書くことはやめておくけれど、ある人はインドの道端のおじさんにスピリチュアルな言葉を言われて人生が変わったという。
笑わせてくれるよ。きっとその人の人生が紙よりも薄っぺらいからそうなるんだよ。
君ももし気になるのならネットで探してみればいいよ。そんなものは掃いて捨てるほどに存在するのだから、
そして、今日またそんな掃いて捨てるような文章が生まれる。
僕もインドに行って人生が変わった。
「人生が変わる」なんて、たいそう安っぽくて、胡散臭い言葉
明らかに頭のいいやつが使う言葉ではないけれど、
インドは、最低で、最低で×100、最高な国だった。これは人見知りがインドに行って人生が変わった話。
学生生活最後の1カ月間、インドを縦断した時のつまらない話。
はいて捨てるほどある話の、ほんの1つの話。
大学4年生の3月
4月1日におこなわれる入社式の前日まで、僕はインドを1ヶ月間1人で旅行することにした。
僕は昔から、「内気」で「シャイ」な自分が嫌いだった。もしもこの初めての「インドひとり旅」が成功したら、自分のことを少しは好きになれるかもしれない。
「絶対にこの旅を成功させるんだ!!」
僕は、松岡修造よりも熱い気持ちで成田空港から旅立った!
けれど、、、
インドの首都「ニューデリー」で
僕はガクガクと震えていた。
会いたくて、会いたくて震えていた。
インドの旅は完全に失敗だと、僕はその時感じた。
成田空港から、ニューデリーの税関を抜けるまでは簡単だった。ただ8時間くらい機内で映画を見て、飛行機を降りたら、
ラルフローレンのポロシャツを着た日本人のオジサンのうしろを、こっそりついていけば良かったからだ。
けれど、そのオジサンは今どこかに消えた。名前のボードを持ったツアーコンダクターに連れ去られてしまった。あぁ、僕のいとしのオジサン。。
「あぁ、ロミオ。あなたは、どうしてロミオ(オジサン)なの?」
それくらい僕はオジサンを愛していた。
ここから、僕の本当の一人旅が始まる。時刻は午後8時、空はもう漆黒の闇だった。早くローカルバスに乗ってホテルに行かなきゃ。
僕は、自分の胸をふるい立たせ、勢いよく空港の外に飛び出した。
「今日この瞬間が、僕にとっての独立記念日(インディペンデンスデイ)だ!!」
勢いよく空港の外に出たと同時に、無数の手が、僕を掴んだ。
宇宙人からの総攻撃を僕は受けた。
まるで、来日した韓流スターのように。
まるで、スーパーのタイムセールのように。
僕の「ファン」(仮)が押し寄せてきた。
「ギヤァーーー」という叫び声をあげながら、大勢のインド人が近づいてくる。「MONEYぇええ!」「マネーぇええええ!!」
ものすごい数の、「モノゴイ」の人達だった。
20人くらいはいただろうか、
20人なんて、人見知りの僕にとっては5万人と同数だった。
僕は「アイム ソーリー」(ヒゲソーリー)と言いながら急いで走った。彼らも走って追いかけてきた。とんでもない執念だ。
「ウォーキング・デッドか!」と僕は心の中で叫んだ。(僕にマシンガンをくれ!)
僕は怖くなって、空港の外にあるトイレに逃げ込んだ。何とかトイレを済ませて、そこから出ようとすると、洗面所の横にいた人が「マネーぇぇぇ!!!」と叫んだ。浜田省吾よりも声が出てた。(Money makes them crazy)
僕はびっくりして、また走った。
「神よ!!どうか、わたくしに安息の地を!!」
今考えると、トイレの人にはお金を払わなくちゃいけなかった可能性もあるけど、トイレの係員という感じは全然しなかった。(すみません確認不可でした。)
トイレを出ると、さっき追いかけてきた人達が待ち構えていて、また追いかけてきた。
長いフライト、機内で観たクソつまらないB級ハリウッド映画、そしてこの終わらない追いかけっこが僕のハートを砕きにきている。「キャッチミー、イフ、ユーキャン」
資格をとるならユーキャン。YES WE CAN.
僕は空港に、引き返すことにした。「空港でガイドブックを読みながら作戦を練り直そう!」そう考えて走っていると、目の前に空港の小さな出入り口が見えた、そして僕は空港に急いで駆けこんだ。
すると、、、空港の入り口で、
「ン、、ダバーーー!!!」と誰かが叫んだ。
あまりの轟音で、
「横に雷が落ちたのかな?」と僕は思った。
そして、よく確認すると、
僕の首元に、銃剣が向けられていた。
「えぇええええ!?」
「何で??刺さるよ、刺さっちゃうよ!?」
ターバンを巻いた、長身のインド人が僕をにらみ付けている。
喉元で、インド人の構えた銃剣が「ギラリっ」と光る。
僕は悟った、「間違ったことを言ったら、きっと死ぬ。。。」
「 何か正確なことを言おう。。。。」
「あ、愛、、、」
「アイ アム ジャパニーズ!!」とぼくは叫んだ。
すると銃剣を持ったインド人は、笑顔になった。
「ガハハ!!ここは空港で、1度出たら再入場禁止だぞ。」「けれど、なんかお前はアホそうだから中に入っていいぞ。」と言った。
ぼくは、「サンキュー。」(恥ずかしながら戻ってまいりました。)と言って、空港のロビーに座った。モノゴイの人々も空港の中まで追いかけては来なかった。
僕は、さみしくポツンと1人で、ニューデリーの到着ロビーのベンチに腰を下ろした。(もう、ここで1ヶ月間過ごそうかな。。)
「そうだ!」
「他にいる日本人を探して助けてもらおう!!」と僕は日本人観光客を探した。
しかし、成田空港から飛行機が到着した時は、まだ何人か日本人や、欧米人がいたけれど、もう今は僕以外に観光客は見当たらなかった。
「たすけてください。」と僕は1人でつぶやいた。
「これからインドの旅が1ヶ月も続くのか、、」
考えたら絶望で目が潤んだ。
泣いてはいない、ただ、カレーのスパイスが目に入っただけだ。甘口のバターチキンカレーのスパイスがさ。
僕は、ニューデリーの到着ロビーで震えていた。。。
つづく。。。