インドに行くと人生観は変わるのか?【第14話】白馬に乗った王子様
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インドは、最低で、最低で×100、最高な国だった。これは人見知りがインドに行って人生が変わった話。第14話。
「や、、やっぱり一緒について行くのはやめます!」
と、僕は歯のないインド人に向かって叫んだ。
「それは、なぜですか?」
「あなたは、エア・インディアに行きたいのでしょう?」
「私がエア・インディアに連れて行ってあげます。」と歯のないインド人は言った。
彼は、何だか少し焦っているような、もしくは怒っているようにも見えた。
「さぁ、私とエア・インディアに行きましょう!」
そう言って、その歯のないインド人は僕の手首を「グイっ」と力いっぱいに引っ張った。
「い、、痛っ、、」
「ちょ、、、ちょっと、、、」
「は、、、離してください!」と、
僕が言おうとしたその瞬間、
「モンキーキック!!」(僕の本名の下の名前)
と叫びながら、また別のインド人の若者がこの場に現れた。
そのインド人の若者は、僕が「エア・インディア」を2時間くらい探して歩いている時に、道端で出会った若者であった。
「おい!モンキーキックを離せ!!」とそのインド人の若者は、歯のないインド人に向かって叫んだ。
歯のないインド人も「何をー、、この若造が!!」的なノリで応戦し、
歯のないインド人と、インド人の若者が、路上でケンカを始めた。
お互いにヒンディー語で叫んでいるから、意味は全く理解できないけれど、ものすごい剣幕でケンカをしていた。
「行こう!モンキーキック!」
「この歯のないインド人はマフィアなんだ!」と若者が言った。
「マ、、マフイア!?」
たしかに現状を確認すると、歯のないインド人の方が、明らかに理性を忘れて興奮していて、とてもエア・インディアの関係者だとか、旅行代理店の関係者だとは、もう既に思えなかった。
それと、品の良い学生カップルの「秘密のハンドサイン」が僕の脳裏に焼き付いていた。
本当にこの歯のないインド人は「悪い奴」なのだろう。もう既に僕らの前で悪態をつきはじめている。
けれど、銃剣の件はどうなんだ?
この歯のないインド人は、建物の敷地内に入ることを許されていたじゃないか。
僕はモヤモヤした気持ちを晴らすため、この歯のないインド人に本当の目的を聞いてみることにした。
「あなたは、何だったんですか?」
「僕をエア・インディアに連れて行くというのは嘘だったんでしょうか?」
と、僕は歯のないインド人に丁寧に質問した。
するとその歯のないインド人は、
「うるせぇええ!!お前らどこかに消えちまえーー!!!」
「もう、ワシには関係ないんじゃーー!!」
と発狂しながら、道端で叫んだ。
獲物をあと一歩で逃した時、パチンコの大当たりをあと一歩で逃した時、人は発狂するのだろう。
僕は怖くなって、まるで白馬の王子様(道明寺)のように僕を助けてくれた、そのインド人の若者と一緒に走って逃げた。
コンノートプレイスの街角の、日陰がある場所まで2人で走った。
日陰がある場所につくと、
「危ないところだったなぁ、、あの歯のないインド人はマフィアの仲間なんだ。」
「あいつについて行ったら監禁されるか、道端で身包み剥がされるところだったんだぞ。」
「なぁ、、モンキーキック、、お前はさっき映画館に行くって言っていたよな、本当はどこに行きたいんだ?」
と、インド人の若者は僕に言った。
僕は1時間前にこの若者に出会っていた。
「ハロー、日本人ですか?」と声をかけられて、
「ワタシは日本語を勉強したいから、マイフレンドになってください。あなたの名前は何ですか?これからどこに行くんですか?一緒にお茶しませんか?」
と言われていた。
僕は彼のことを絶対に怪しいと思っていたから、本名の下の名前だけ教えてから「これから映画館に行くんだ。」とウソをついて、目の前の映画館に逃げこんでいたのだった。
もちろん、その時は映画を観ていない。
「彼にウソをついてしまい、悪いことをしたな。。」と僕は思った。
今度は、本当のことを彼に話そう。
僕のことを一生懸命助けてくれたし、彼は本当に良い人な気がする。
「ごめんよ、実はあの時、映画を観ていないんだ。」
「本当は、エア・インディアを探しているんだよ。」と僕は言った。
「エア・インディア?何でだい?、でも、それならあの建物の中にあると思うよ。」と彼は言った。
「リコンファームをしないといけないんだ。僕もそう思ったんだけど、あの建物の中にエア・インディアはもう存在しないんだよ。」
「そうなのか、そいつは困ったな。」
「それは困ったぞ、何かいい案はないのか?」
「そうだ。俺は知り合いの旅行代理店を知っているぞ。」と彼は言った。
「おいおい。。。」
「マ、、マジかよ。。」
このインド人の若者も、僕を旅行代理店に連れて行きたいから助けてくれただけだと僕は思った。
僕は深いため息をついた。
エア・インディアへの道はあまりにも遠く、そして険しい。。
僕はうつむきながら、、
「それはいくらですか?君はいくらほしいんだい?」
と単刀直入に、そのインド人の若者に聞いた。
すると、そのインド人の若者は、
「おいおいおい、僕を見くびってもらっては困るよ。」
「僕は本当に日本が好きで、日本人の君を助けたいんだ。」と言った。
うぅう
うぅぅぅ、泣
「ありがとう!!マイフレンド!!」
「君は、僕の初めてのインド人の友だよ。」
僕は、そのインド人が知っているという旅行代理店について行くことにした。
旅行代理店にいけば、エア・インディアに関しての情報が何か掴めるかもしれない。
つづく。。。