サルも木からブログ

おもしろき、こともなき世を、おもしろく。

閉店恐怖症

スポンサーリンク

変わった友人がいる。

 

f:id:Jalapeno31:20200717112946j:plain

 

ーーーーーーーーーーーー

「閉店のお知らせ」

平素より当店をご利用いただきまして、ありがとうございます。

この度、当店は○月○日(○曜日)を

もって閉店することとなりました。

  

お客様には大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。これまで当店をご愛顧いただき、誠にありがとうございました。

ーーーーーーーーーーーー

 

この文章を見ると、自分の体の一部を失ったような気持ちになるらしい。

 

 

自分がよく行っていた店ならまだしも、職場とか家の近くの1回も行ったことがないお店に対しても、そんな気持ちになる。

 

 

だから閉店の張り紙を見るのが辛い。

 

 

最近「閉店します」というお店に1人で行った。初めて入るお店で「ラ・カフェ」という名前だった。

 

 

店内はガランと片付けられていて、客は自分1人だけ。店員さんのオペレーションは手際が悪く、ハンバーグ定食は15分たっても出てこない。

 

 

やっと出てきたと思ったハンバーグ定食は、ソースが甘すぎる気がしたけれど、不味くはなかった。

 

 

どこか懐かしいその味と、年季の入った茶色い木の壁、食後の無料ホットコーヒーが作る空間は居心地がよかった。

f:id:Jalapeno31:20200717112757j:plain

 

 コーヒーカップの底を、2分間ボーッと眺めてからレジへと向かう。

 

 

店員さんがお会計の際にこう言った。

「またお越しください。」

 

 

「あぁ、また来ますとも。」と彼は答えた。

 

 

せっかく見つけた場所も次行くときにはもう存在しない。というか全ての店がいつかは閉店するのだろう。

 

 

夜の帳がおりる。向かいの八百屋の二階の部屋に明かりが灯る。「ラ・カフェ」の痩せた店主が自転車にまたがり家路につく。

f:id:Jalapeno31:20200717112643j:plain

 

明日きっと雨が降る。

 

彼はクローズショップフォビアだ。

 

 

jalapeno31.hatenablog.com

 

 

jalapeno31.hatenablog.com